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キスは挨拶
佐藤の言葉に僕は一気に顔が熱くなるのを感じた。
ていうか何されてるんだ僕は。いや、そもそも男にされて嫌じゃないのは当たり前じゃないか。
僕は女だぞ。男が恋愛対象な女だぞ。顔が良くて、物腰の柔らかい佐藤に優しいキスされて嫌ではないに決まってる。
外国帰りで、キスは挨拶だったんだよ、こっちは。動揺なんてしない、動揺したら終わりだ!
多分僕は目まぐるしい勢いで脳内シナプスを使い切って、その結果口から溢れでた言葉がこれだ。
「…こんなの挨拶レベルでキスでも無いし。僕は女の子が好きだし。だからこのキスも意味はないし。」
佐藤はちょっと驚いた顔をした後、とても悪い顔をして言った。
「へー、挨拶なんだぁ。意味がないならちょっと僕にケンケンの凄いテクニック教えてくれないかなぁ。
僕も別に男より女が好きだけど、ケンケンは綺麗系だから全然大丈夫だしね?
意味がないなら出来るよね?はい、どうぞ。」
佐藤は僕の肩に手を掛けると目を閉じて顔を傾けた。
これはアレだ。キス待ち顔だ。
ていうか何で僕が佐藤に凄いテクニックを披露しなきゃいけなくなってんの?
でもここで下手に揉めたら弟の俺様仮面も剥がれちゃうし、今後の生活に響くのか?キスした方いいのか?
多分僕は慌てすぎて物事の正解に辿り着けなかったんだ。
僕は覚悟を決めて佐藤の頬に両手を当てて、ヤケになって口づけた。
柔らかな佐藤の唇の感触を楽しんでから、下唇をハムハムと焦らす様に挟んだり吸ったりした後、舌で佐藤の唇をくすぐった。
佐藤の軽く開いた口の中にチロチロと舌を伸ばし入れると、佐藤がため息をついて口を大きく開いた。
僕は思わず佐藤のほんのりと甘い口の中を撫でさすって、粘膜の柔らかさを楽しんだ。
突然佐藤は肩をギュッと抱き込み、僕の後頭部を掴んだかと思いきや、さっきまでされるがままだった口づけを僕を犯す様に蹂躙し始めた。
僕は息も吸えずに半ば朦朧として佐藤に激しく口づけられた。
佐藤はうっとりと顔を離すと僕の目を覗き込んで言った。
「ケンケンのキスやばいね。僕は熱くならない方なんだけど、うっかり本気出ちゃった。
しかもそんな蕩けた顔で見つめられたら僕期待に応えたくなっちゃう。」
そう言いながら、佐藤はよりにも寄って僕の股間を指でなぞった。
そう、僕のちんたま君を…。
佐藤は片眉を上げておや?という表情をしたかと思うとズボンの上からちんたま君を握った。ちんたま君を…。
「ケンケン、扇情的な顔してるくせに、百戦錬磨なのかなぁ。ここ、全然じゃん。僕なんてちょっとキタのに…。ほら。」
佐藤はそう言うと僕の手を佐藤の股間に置いた。うん、ちょっと勃ってる。
おい、コラ!何で握らせてんのー⁉︎
僕は慌ててベッドから飛び降りると早足でドアに向かった。
「…情報ありがと。」
それが僕の精一杯のクールだった…。
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