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最初の楽しみに、おにぎりをパクつく。
遅くなるから、軽めで良いと言ったはずのおにぎりは、大きいのが一つ。
卵焼きは、わざとなのか少し焦げがついていた。
おにぎりの中身は、おかか。
卵焼きは甘じょっぱい味。
私の帰りを待っていた夜食は、私の幼い記憶にある母独特の、あの味にそっくりだった。
驚き、反射でメモを見た。
見ない方が良かったかもしれない。
もう会わない方が良い。僕のことは忘れてほしい。
彼の残したメモは、全てを物語っていた。
だって私は、彼に母の味を教えたことも、作ってあげたことないのだから。
涙を流しながらを食べるその味は、あの頃と全く同じだった。
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