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プレオープン
店には給仕をする従業員も続々と到着して、何度か練習を重ねる。
ミラとイーサン、クロード以外は店に泊まり込みプレオープンに備えた…
そうしていよいよ待ちに待ったその日となった。
クロードとイーサンは整列する従業員達の前に立った。
ミラもちゃっかりと後ろの方にいたパッドさんの隣に並ぶと
「いよいよだね!」
ミラがコソッとパッドさんに喋りかけた。
「こら、静かにしてろ」
パッドさんがシーッと指を口に当てると
「そこ、料理長?なにかありますか?」
イーサンが喋っているパッドに声をかけた。
「い、いえ!なんでもありません!頑張ります!」
慌てて返事をするパッドにミラや周りの料理人がくすくすと笑っている。
「料理長がおしゃべりする余裕があるみたいですね!みなさんも気負わずによろしくお願いします。今までの練習通り接客していただければきっと大丈夫です」
『はい!』
パッドさんのおかげで和やかな雰囲気のなかスタートした。
パッドはジロっとミラを睨むがミラは知らん顔してイーサンの元に駆け寄った!
「イーサン様!料理楽しみだね!みんなが作るご飯は美味しいだろうなぁ」
ミラはパッド達に聞こえるように声をかけた。
「あいつ…」
パッドは他の誰よりもミラに美味いと言わせてやるとやる気をだした。
クロードさんが店を開けると最初のお客さんが入ってきた。
「これはこれはブランドン様ようこそお越しくださいました」
ミラはテーブルにイーサンと座りながら入ってくる客を観察する。
「あれは伯爵のブランドン夫妻だな…食にうるさくて有名だ」
イーサン様がこっそりとミラに説明してくれる。
「ふーん…」
クロードが少し話した後に従業員を呼んでテーブルまで案内させる。
すると次々に招待した客がやってきた。
クロードはひとテーブルに二人の給仕をつけて対応させる。
客を入れた事で厨房の方も忙しくなってきた。
パッドを料理長として各クラスに分けて副料理長として三人担当の者を決めていた。
「先ずは前菜のトマトのカルパッチョだ!みんな頼むぞ」
パッドが声をかけると一同が頷き動き出す。
イーサンはやってくる客一人一人をミラに丁寧に説明していた。
給仕達は席に着いたお客様にとりあえず飲み物を聞くとすぐに用意する。
その間にもう一人が厨房にテーブルナンバーと人数を報告する。
「ゴールドクラス予定のブランドン様が二名様で到着です。お二人共葡萄酒を注文しました」
『了解!』
厨房から声が上がると
「客が揃ったらクロードから少し挨拶があるはずだ。それが終わると同時に前菜を出してくれ!あとは客の食事の進み具合で次を出す!」
パッドが声をかけると厨房のみんなは一様に返事をした。
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