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午前中の講義が終わり、賢斗と学食へ行った。
今日はやけに人が多い気がする。
食券を買い行列の最後尾へと並ぶ。
「おい裕太。最近真面目に講義聞いてないだろ? 大丈夫なのか?」
「おぉ、多分」
「なんだよ多分って。小説だの七菜ちゃんだのって学業に集中出来てないじゃん。
七菜ちゃんと関係持ったとか、誰とでも寝る奴って思われるよ?」
「は?」
「ヘ?」
二人でおかしな言葉で会話をした。
「誰が?」
「裕太が」
「誰と?」
「七菜ちゃんと」
「何をした?」
「寝た」
俺は腹の底から笑ってやった。
「誰が誰と寝たかは別として、俺はオッパイ揉んだだけで何もしてないよ」
回りの学生が俺達のことを汚い奴でも見るような目で見ている。女の子に関しては口元に手を当てて俺等を指差している。
賢斗は俺を壁側に寄せると息を殺して言った。
「だからデカい声で言うなよ」
やっとのことで昼食をゲットしてテーブルに着くことが出来た。
いつもなら向かい合って座るのだが賢斗は俺の横に座り、何故だか近くに寄ってきた。
「ねぇ、オッパイ揉んだだけでってなんだよ。じゃぁエッチしてないって事?」
「誰がエッチしましたって言ったよ」
賢斗はその言葉を聞くと背もたれに思いっきり寄りかかり、ふんぞり返った。
「やったような素振りすんなよぉ」
「だから誰もやったなんて言ってないじゃん。オッパイ揉んだだけで」
すかさず賢斗に口を押さえられた。
「だからデカい声で言うな」
今日の昼食は、二人でチキン南蛮にした。
大盛ご飯に味噌汁。これぞ定食だ。勿論漬物も忘れてはいない。
「だから俺は胸を揉んだだけで挿してはないよ。キスだってしてないし、何で賢斗が心配してるのか意味がわからん」
「えっ、七菜ちゃんがそう言ってたんだけど」
「は? 素面の俺より、酔っぱらいの言ってる事を信じるのか?」
「裕太、吞んでなかったの?」
「二人でグデングデンになってたらヤバいでしょ。俺はそこまでアホじゃないから」
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