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今ここで何が起こったのか理解に苦しむ。
そして望んでもいないキスで唇を奪われたショックは計り知れない。
回りを見渡すと、遠巻きに何故か賢斗の姿が。賢斗はじりじりと歩み寄ってくると俺の顔を覗き込む。
「やりちん君」
「まてまて、俺は被害者だ」
「胸触ってたじゃん」
「あれは体を離そうとしただけであって」
「ほぅ」
「なんかムカつく」
俺は賢斗を車に乗せて話をした。
「なぁ賢斗、セフレでもいいの! とか言われて舌をグイグイ入れられたら、さすがにこっちも焦るよな。エイリアンやらプレデター的ななんちゃらを思い出したわ」
「酷い言い方だなぁ。もしかしてタマゴとか産み付けられてないよな?」
「マジか、ペッ、ペッ。
つぅかその言い方も酷いぞ」
「でも七菜ちゃんは何でそこまで裕太のことを追いかけてくるんだろうなぁ」
「知らねぇよ」
「もしかしてアレじゃないか?
前に裕太が言ってた、本気と遊びは違うって話したじゃん。遊ぶなら彼女持ちの方がいいとか何とか。それなんじゃないの?」
「じゃぁ初めから遊びでいいじゃん」
「七菜ちゃんが裕太が好きなのは分かった」
「違うんだよ、七菜ちゃんは人の物が欲しいだけなんだよ」
「へぇ」
「だから小悪魔ちゃんなんだって。どんな手を使ってでも欲しい物は欲しいんだよ」
「へぇ」
「綾乃がいるからダメだって言ったのがいけなかったのかなぁ。賢斗のことが好きだったら良かったのになぁ。
そうだ、賢斗に七菜ちゃんを譲ってやるよ」
「いやいや、それはどうかなぁ。一応オレも選びたいじゃん」
「そんな贅沢言うなよ。まだ童貞なんだから」
「だから童貞じゃないから!
まぁ、七菜ちゃんの件に関しては、ちゃんと話が出来るようにセッティングしよう。オレも間に入るからさぁ」
「助かる、ありがとう」
「でも、女好きのお前でも苦手な女の子っているんだな」
「だから女好きじゃないから」
もしかしたら遊ばれてるのは俺の方かも知れないと悟った瞬間だった。
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