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「裕太には綾乃ちゃんがいるのに、なんで女の子が寄ってくるのかなぁ。普通さぁ、彼女がいたら寄ってこないだろ?」
「お前はそんなんだから女の子に振り向いてもらえないんだよ。
いいか? 女の子ってのはな、遊ぶ男と彼氏は違うんだよ。遊ぶなら彼女持ちでもいいわけ。そっちの方が女の扱いは慣れてるからな。だから賢斗は真面目だって言われるんだよ」
「そんなもんなのかなぁ。じゃぁ裕太の回りには女の子がたくさんいて、しかもその子達は遊びたいだけの女の子ってわけ?」
「あぁ、それはどうかな。幼馴染みの賢斗なら俺のことを良く分かってるだろ? 俺は遊び人に見えるか?」
「見える」
「はぁ?」
「裕太の事、綾乃ちゃんにチクってやろうかな」
「賢斗、お前、それは嫌がらせか?」
「それはどうかな」
そんな馬鹿げた会話をしながら俺達は校内を歩く。そしていつもの事だが気が付くと女の子が近くにいる。
「裕太君おはよ、朝から会えるなんて嬉しい」
「おはよ七菜ちゃん。今日は髪ポニーなんだね、可愛いよ」
「ありがとう!」
「裕太君はさぁ、付き合ってる人いるの?」
「いるよ」
「えー! それ、私じゃダメかなぁ」
「んー、どうしよっかなぁー。人の彼氏を奪うなんて、七菜ちゃんは小悪魔ちゃんだなぁ」
「じゃぁ裕太君、今度ご飯食べに行うよ」
「オッケー」
「絶対だからね」
ほんの二、三分のやり取りで商談成立した。
「裕太、お前は軽い奴だなぁ。綾乃ちゃんが泣くぞ」
「今は綾乃の事は言うな」
広い中庭を足早に横断して講義に向かう。
本日の講義内容は、生涯発達心理学。
和菓子屋に心理学は必要ないけど、って所だけども。
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