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「じゃぁ、しばらくエロ小説から離れれば?」
「なんかさ、一発屋で終わりたくないんだよね。せめて二発は行っときたい」
「一発も二発も変わんねぇよ。それがしがみついてるって事なんだよ。過去の自分に」
「は?」
「だから裕太は過去の自分に、過去の栄光にしがみついてるって事なんだよ」
悔しかったけどそれは図星。
「俺、なんかまた元気無くなってきちゃったな」
「何だ裕太、また振り出しに戻ったのか? モノポリーはそう言うもんだ。そんな事でいちいち凹んでたらどうにも進まないだろう? 元気出せ」
それでもまだヘタってる俺を見た賢斗が、ホルモンを大量に投入して焼き始めた。
そして賢斗は立ち上がると俺の胸ぐらを掴み引き寄せてキスをした。
「ニンニク風味のキスだ、どうだ?」
「賢斗の場合、キス風味のニンニクじゃないのか?」
「なんだよそれ」
肉から火が上がって俺等も焼き肉になるところだった。
「賢斗バカ! アチィじゃんかよ! 何でこのタイミングでホルモン焼くんだよ!」
「知らねえよタイミングなんか!」
隣の客に襖をドンッと叩かれた。
個室の座敷って見えないから良いんだろうけど、さすがにうるさい声は筒抜けだった。
「ごめんなさい」
そう言うと今度は小さく笑い転げた。
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