本当の自分

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「あれには驚いたわ。そして熱かったわ。番重(ばんじゅう)で遊んでたら饅頭(まんじゅう)が降ってきた奴」 「は?」 「和菓子を入れる番重が積んであって上って遊んでたら、蒸かし上がったばっかの饅頭棚が倒れてきたんだよ。親父はビックリして、何やってんだー! って怒るんだけど倒してきたのは親父だろって」 「饅頭もまた作り直しじゃん」 「賢斗の旅館に卸す饅頭だからいいんだよ」 「いいんだよって、何がいいんだよ」 「いや、知らんけど」 「知らんのか」 「この火傷の跡、自分じゃ見えないから気にはしてないけど、見た方は気を遣うみたいでさぁ。面倒くさいから見られたくないんだよね」 「だから服は脱がないのか」 「そうね」  ゲーム対戦もだいぶ進んで画面に集中しだした。そして会話がなくなる。すると、急に 「裕太、服脱がしてごめん」  賢斗が謝ってきた。 「今?」 「は?」 「賢斗、今謝る?」 「ダメ?」 「いや、別に良いけど。今? それ本気?」 「だから、裕太は何が言いたいんだよ」 「散々ゲームした後だから何の話しか覚えてない」 「バカ作家め。もっと感情を働かせろ」 「バカ作家とな?!」  どうやら更に降格され、俺はバカ作家になった。
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