79人が本棚に入れています
本棚に追加
グダグダしながらも本日の講義は全て消化できた。ただ、確実に残ったのは俺の満たされない性欲だけだ。
「おい賢斗」
「バックは取らせないぞ」
賢斗は持っている鞄で自分の尻を隠した。
「別に男には興味ないから心配するな」
「じゃぁ何でオレの手を握ってたんだよ」
不思議な会話は歩みを進むに連れて段々とおかしな方へと転がり始めた。
「俺、もしかしたら男でも行けるかも知れない。賢斗、やってみる?」
「は? 何言ってんの? ハッキリ行っとくけどオレはヘテロセクシャル。裕太の相手はしません」
「おぉ、横文字使ってきたねぇ」
「まぁ、この世の中ゲイもレズビアンもバイセクシュアルも、色んな好みがあるからね。いずれにしても、オレは女の子が好きだから。男の裕太には興味なし」
「でも賢斗は彼女いないよな? ワンオペだろ?」
「なんだよワンオペって」
「一人でオナニー頑張ってるんだろ?」
「黙れよ、デカい声で言うなよ」
中庭のど真ん中でその言葉が響く。
周りを見渡すと近くにいた女の子がクスクス笑っていた。
近くのベンチに座り俺は賢斗から説教を食らう。
「お前なぁ、女の子があんなこと聞いたら余計に遠ざかってくだろ? 少しは気を使えよ」
「でも俺には女の子が寄ってくるよ?」
「お前みたいな奴と一緒にするな。俺は裕太と違って純粋だから」
「ほぉ。そうなの?」
「なんかムカつく」
「賢斗はさぁ、好きな子とかいないの?」
賢斗は周りを見渡しながら清々しさをかもし出しながら話し始める。
「理想はあるよ。誰だって、可愛いとか綺麗とかあるよな。でもオレのこと好きになってくれるならそれでいいかな。
料理が上手い子とか憧れるなぁ。ジューシーなハンバーグとか唐揚げとかたまらないよね。一口食べたらムラムラするかも。そしたら始終発情してるかもね」
「で、ワンオペなのか?」
「だから、デカい声で言うな」
最初のコメントを投稿しよう!