新しい何か

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 昼食は郷土料理のほうとうを食べることにした。B級グルメで有名な鳥モツも注文する。 「俺、この黄色い卵みたいな奴好きじゃない」 「これはきんかんって言うんだよ。卵になる前の卵」 「ぐぇ。食べたことないけど」  食わず嫌いが発動する。 「食べたことないのに嫌いって良くないよ?」 「いゃ、俺にはムリだな」  綾乃に首を傾げられた。 「食べてみたら? 美味しいかもよ?」 「ムリです」  ほうとうは熱々で南瓜はホクホクで、体が温まる感じが旨さを倍増させる。  ビールが欲しい所だが、運転手だからここは我慢しよう。  食事をしながら次の場所を検索する。 「ねぇ裕太、もしかしてノープラン?」 「はい」 「ここまで来てノープランですか?」 「はいそうです」  怒られるのかと思ったがそうでもなかった。 「ゆっくり行こうか」  そう言うと綾乃はテーブルに両肘を突いて俺を見て笑った。  いつもの綾乃でないことは見て分かる。 「どうした?」 「別に。なんか普通の男性なんだなぁと思って」 「何それ」 「これが普通なんだなぁって。今まで裕太といると忙しくて疲れちゃってたんだよね。でも今はこのゆっくりとした時間が心地いいと言うか、まったり感が気持ちが良いと言うか」 「へぇ、そうなんだ」 「それに、こんなにじっくりと裕太の顔を眺めたことも無かったし、改めてカッコいいなぁって」 「それって、カッコいいのは見た目だけ?」 「いゃ、全部」  自分の言った言葉に照れたのか、箸を持ち直してほうとうをかき回す。  俺もそんな表情をする綾乃を見たことが無かったから見てるこっちも照れる。 「綾乃はどこか行きたいところある?」 「葡萄が見られたから満足。あっ、遊覧船とかも良いなぁ」 「方向が違うから遊覧船は明日だな。じゃぁ、食事を済ませたら龍に会いに行こう」 「龍に?」 「そう、龍ね」
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