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物申す小説家犬
おい! そこの選考してる選考員! ちゃんと俺の書いた小説を最後まで読んでいるのか?! 最初の一ページだけ読んで落選だなんて許さねぇからな!
俺は鳴かず飛ばずの落選常連組の自称小説家。とある小説サイトの住人である。
そして、誰にも認めてもらえないという現実と寂しさの狭間で、もがき苦しみながら落選した八つ当たりを選考員にぶちまけてみた。
何だよ、回覧一ページだけって! 物語が何も始まらないうちに終了とか有り得ねぇから! 短編小説十四ページ、ページビューが一って! 五百文字しか読んでねぇじゃねぇか!
なぜそんな事がわかるのか?
それは、俺の書いた小説はほとんど読者もいないから誰がどんなタイミングで読みに来たのかがわかるってな仕組み。スターをくれた読者にはきちんとお礼をしに行く。
俺って律儀だろぉ?
回覧が一ページだけの概要はと言うと。
エントリー締切を過ぎたある日、一人の読者が回覧に来た。そしてページビューを一つだけ残して、俺の作った世界から出て行った。
お願いだから最後まで読んでくれ!
そんな思いは届くはずもなく、結果発表を迎える。
落選。
なんだか腑に落ちない俺がいる。
が、まぁ、人を引きつける力が無かったって事だ。
結局、小説なんてコンビニに並んだスイーツと一緒なんだよ。
商品は目に止まらないと手にしてもらえない。
小説も同じで、題名とあらすじでだいたい決まる。
人を魅了する力が無かったってだけの事なんだろうな。
と、自分のことを宥めてみる。
もぅいいよ、次書くから。
とは言ってもなかなか落選の衝撃から立ち直ることが出来ない。失恋したかのように傷心している自分を労っている間に、次の締切がやってくる。
心は傷付いていても、頭はちゃんと次のこと考えてるんだよな。俺ってスゲぇ。
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