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次の日僕は学園に行く準備をしていた。
体調は万全とはいえないが気にならない程度には良くなった。
「体調崩すなんてことないからどう教室に入ればいいのか……」
たった少し休んだだけでも授業は進むし、生徒達の流行も進む。
しかも、御曹司達が集まっているのだから尚更話についていけなくなる。
「あまり気は乗らないけど、頼もうかな。」
誰に頼むのかというと今までなかなか出番がなかった親衛隊隊長の柊奈緒である。一応、親衛隊もちなのだ。
スマホでメッセージを送った。
[ 最近の情報教えて今度お菓子作るから。]
そう送れば返信は直ぐに来た。
「相変わらず、お菓子が好きなんだから。」
思わずふふっと笑いが溢れた。
[もちのろん!てか来ると思って用意してたのよね〜 ]
仕事が早いこった。
情報は全ての基本だと思って行動していたから分かったのかな。
それでも分かるのは凄いな。
[まず、大きな変化というのは無いね。マリモがちょっとうるさい迷惑って感じだけど、黒瀬が関わる人の間で変化は感じられないから安心して。ただ___ ]
ただ?
[うるさいの、あいつらが。 ]
あいつらって、
[弥矢と橘がまぁうるさいのうるさいのって、黒瀬の事をずうっと聞いてくるんだよ!?だから学園行ったらまずあいつらどうにかしてよね。これでも心配してんだから。]
[ ありがとね。]
そう送った。
心配、してくれたんだ。
この気持ちを落としてしまわないように。
そっと、
行動し始める。
いつも通りの変装をしようとして
ふと、思った、思ってしまったことがあった。
こんな僕を受け入れてくれるんじゃないか、と。
その余りにも傲慢な考えは、僕の胸に希望が浮かぶと同時に深い傷を抉った。
「はは、馬鹿みたい…」
首を振って外に出る。
誰もいなくなった部屋には灰色の髪の毛が落ちていた。
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