偽チャラ男の日常

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大きく深呼吸をする。 「行けるか。」 理久が真剣な表情でそう問いかけた。 これは自分の耳と生力をかけている。 心の準備は必須だ。 「い、行けるよぉ」 そう小声で答えた。 大きな扉がゆっくりと開く。そして… きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 「「うぐぅっっ」」 生力がごっそり取られている気がする。 ひ、久しぶりに来ると大変だ。 「黒瀬さまぁぁ!!」 「今日もかっこいいですぅぅぅ。」 「抱いてくださぁい!」 今日もチワワたちが元気だなぁ。 「また今度ねぇ〜」 キャラを壊す訳にはいかないからそう言っておかなきゃねぇ。 「理久さまぁぁ!」 「お仕置きしてくださぁい」 「その冷たい目で罵ってぇぇ」 「嫌だよ!」 りっくんも大変だねぇ。 「ちょっと眺めてないで行くよ!」 「はぁーい」 敬礼をしながらそう言った。 っきゃぁぁぁぁぁぁ 「もう!なにしてるの!余計なことしない!」 「は、はぁーい」 し、失敗した…。ここは食堂なんだった。 気をつけよう… 「ここ座ろっか」 「おぉ〜、いつもいい席空いてるよねぇ〜。お礼言わなきゃねぇ〜。」 一応、僕にも親衛隊というものはあるわけだから、可愛いチワワちゃんたちが空けてくれてるみたいなんだよねぇ〜 そう思い、スマホでメッセージを送った。 〔今日もありがとねぇ〜✩〕 そう送るとすぐに 〔どういたまして〕 と返ってきた。 「ふふっ。どういたましてって、ふふふっ」 なんか、面白い。 「いずちゃんってさ、ツボ浅いよね。」 「そっそんな事ないってぇ。」 「まっ楽しそうならいいや。グラタン頼むよ?」 「ありがとぉ〜✩」 楽しみだなぁ。 ❂ ❃ ❅ ❆ ❈ ❉ ❊ ❋ 「あ、そろそろ来るんじゃない?」 「楽しみぃぃ〜」 ウェイターさんが二人分のグラタンを運んできた。 「こちら季節限定の海老グラタンでございます。」 ここはお金持ち学校だからウェイターさんが運んでくれるんだ!凄くない? 僕はバリバリの庶民だからこういうの慣れないよねぇ。 「ありがとぉございますぅ」 「ありがとうございます」 「いえいえ。」 そう言って爽やかなウェイターさんは戻っていった。 なんだろう、イケメンすぎるの辞めてもらっていいですか。 「この学校。イケメン以外はいないのかなぁ。」 「分かるぞそれ。」 僕たちは外部生だからね。 理久はお父さんが社長さんだけど、僕はドがつくほどの貧乏人。一応特待生だから授業料は免除だし、食堂の料理だって食べられる。じゃなかったら、海老入りのグラタンなんて食べられないよ! でも、今日もいつも通りの日常だなぁ、 平和だなぁ。
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