壊れる日常

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「よいしょっと。」 掛け声と同時に重い荷物を床に下ろす。まだ三階だから五階まで登らなくちゃいけない。 「なんで階段で来ちゃったんだろう。」 先生に手伝いを頼まれて五階まで書類を運んでいるのだが、最近運動していないことに気づき階段で登ろうとしたのが運の尽き。 「他の先生からも頼まれるとは思わなかった。」 五階には研究室があって、そこでは雨野(あまの)先生が研究をしている。変人なため皆はあまり近づかない。僕は先生に頼み事をしているためよく行く。するとついでだと言わんばかりに先生達から手伝わされる。自分で行けばいいのにとは思うが、これも成績のため。毎度毎度手伝っている。 「失礼しまぁーす。」 やっと五階に着いたため研究室の扉を開ける。 「よく来たねぇ」 雨野先生がそう言った。 …相変わらず部屋は汚い。 「そこおいておいて〜。」 「はぁ〜い」 これで先生からの使いは終わり。 あとは僕の用事だ。 「先生今日もおねがいしまぁす。」 そう言った。 「またぁ?もう。」 そう怒りながら雨野先生が取り出したのは。 「この安定剤がないとダメなんですぅ。」 そう、精神安定剤。 「そんなに飲んだらまた濃度上げないと行けなくなるじゃない。今のだってすっごい濃度高いんだから…副作用だってすごいでしょ?」 「大丈夫ですぅ。我慢できますぅ。」 「もう。出来るだけ使わないようにしてね。いつでもここに来たらいいじゃない。お菓子だってあげるわよ。」 「僕は先生とは違うんですぅ。逆になんでお菓子が精神安定剤になってるんですかぁ。そんなに美味しいですかぁ。」 先生はお菓子を安定剤としている。いいなぁ、 「美味しいじゃない。太るけど。」 「それはいやぁ。」 「「あははは」」 2人で笑い合う。 雨野先生は学校で数少ない女の先生。 そして僕のお姉さん的存在だ。 僕を助け出してくれたのも、グラタンを食べさせてくれたのも雨野先生。ほんとに大好き。 「あら。そろそろ授業が終わる時間ね。ちゃんとご飯食べなさいよ?安定剤を胃に何も入ってない状態で飲むと副作用が凄いんだから。ちゃんと薬の約束は守ってね?」 もう。心配性なんだから、でもそこに助けられていることもある。 「はぁーい。雨野先生いつもありがとう。」 「ええ。」 ちゃんとチャラ男じゃない自分で感謝を伝える。本当に感謝しているって伝わっているだろう。 また、頑張らなくちゃ。 □□□ 女の方が出てきて嫌だって思う方は申し訳ありません。ですが、恋愛に発展することはないので、ご安心ください。
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