夢か現か

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 凛とした佇まいに切れ長な瞳をした彼は人を寄せ付けない雰囲気を持っており、私は思わず息を呑み黙り込む。 「醍狗、礼儀を欠いてはいけないよ。寧々さんも良ければこちらにいらしてくれないだろうか」 「え、ええ」  九重家からの贈り物であろうか。長方形の机には高級羊羹が置かれており、私は座るやいないや目を輝かせた。  とても美味しいと有名な羊羹で、自分のおやつとして買うにはなかなか高い値段であった。それを選ぶなんてセンスの良さが伺える。 「申し遅れた。私はの九重家現当主、九重玖善。寧々さん、ずっと会いたかった」 「あの、申し訳ないんだけど、私貴方のこと覚えてないの。どこかで会ったのかしら」 「それはそうでしょうとも。私はこの姿で貴方にお会いするのは初めてですよ」 「会ったのは幼いころということでしょうか」  玖善は眉を下げ困った顔を見せた。何か言いにくいことがあるとでもいうのだろうか。 「寧々、まあ良いじゃないか。玖善殿、例の件も娘もよろしく頼みます」
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