四月

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ある日の休日、買い物に出かけ戻って来ると 「藍ちゃん、ちょっといい?」 祖母が真剣な顔をして私を呼んだ 「どうしたのおばあちゃん?」 「ここに座って」 ソファーに座るように言われ 祖母の横へ腰掛ける 「藍ちゃん留学の話があるんだって?」 え?なんでおばあちゃんが知ってるの? 不思議な顔をしていると 「さっき学校から連絡があって 留学先の方から返事の催促があったみたいで 出来るだけ早く返事が欲しいって言われたわ」 おばあちゃんには内緒にしておこうと思ってたのに いないときに連絡が来るなんてタイミングが悪い 「あーそれ断ろうと思って」 「どうして?」 おばあちゃんが心配だからとか言ったら絶対 行けって言われるしな、、、 答えに困っていると 「あら、行かせますからよろしくお願いしますって 言っちゃったわ」 えーーーー?? 「なっなんで?行くって言っちゃったの?」 「だってこんないい話、断る理由がないじゃない」 「でっでも、、、」 祖母は優しい顔をして 「どうせ私を一人にしてしまうとか 心配して断るつもりだったんでしょ?」 祖母は全てお見通しだった 「私の為に藍ちゃんがやりたい事できないなんて 治る病気も治らなくなるわ」 「おばあちゃん、、、」 「心配しなくても大丈夫だから行ってらっしゃい」 おばあちゃんはいつも以上に元気なふりをして 私の背中を押す そんな祖母の後押しもあって 半年間韓国へ留学することになった 頑張って勉強して夢を叶えて おばあちゃんを安心させてあげよう そう決意し留学の準備をする 小さなときから両親と海外を転々としていた 私は韓国には小学生のときに2年ほど住んでいた ことがある 片言の言葉は話せるが言葉というのは 日常的に使わないと忘れてしまう しかも一人で半年間 慣れない場所で過ごすのは不安もあったが 祖母も応援してくれているし せっかくのチャンス 韓国で半年間、勉強することにした
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