五月

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数日が経ち今日は以前ジウが言っていた 女性アイドルのレインシエルのジャケット撮影の日だ 朝から落ち着かない様子のジウとは反対に ファッションにしか興味の無い私は倉庫で 今日の服や靴をチェックしていた 「藍、もうすぐ来るって!緊張する」 ジウは仕事が手につかないくらい緊張しているようだ 「おい、ジウ!学生の藍の方が働きがいいぞ 明日から連日アイドルのジャケット撮影あるのに 初日からこんなんでどうする!」 ドハがジウのオデコを中指でデコピンする 「痛ーい!せっかく念入りなメイクしたのに 赤くなるじゃん」 もうっと怒りながらもドハのおかげで 緊張が解けたのかいつものようにテキパキと 動き出した 「レインシエルさん入られまーす」 スタジオ中にチェアの大きな声が響き 綺麗な女の子が5人入ってきた 一斉にスタッフ達が動き出し 持ち場の仕事を素早くこなす 私は邪魔にならないようにアクセサリーを 運んだりして、みんなのコーディネートをみて 真剣に勉強した 無事に撮影も終わりレインシエルの退出の 手伝いの為ジウと一緒に控え室へ向かう トントン! ドアをノックして入る 「お疲れ様です。失礼します」 「はーい、今日はありがとうございました」 メンバーの一人が私達に挨拶すると 全員が一斉に挨拶する さすが芸能界の厳しい環境で デビューした一握りの人達 礼儀もしっかりしてる ジウの後ろから感心していると メンバーの一人と目が合った ずっと見られてる、、、 ん?私何かやったかな? ドキドキしていると 「もしかして藍ちゃん?」 思いっきり日本語で話しかけられ慌てる 周りのメンバーも一斉に私を見る 「ミナ知り合い?」 日本語で話しかけてきたミナと言う子に メンバーが訊ねる 「あれ?違うのかな? 新木場に住んでた田塚藍ちゃんじゃない?」 え?確かに小学校の時、新木場に住んでたことがある 一生懸命思い出そうとするが 転勤族であちこち行ってたから思い出せない 「えーと、、、」 どうしよう、、、 「私、山岡美波だよ!小学校が一緒だった」 嬉しそうに私の手を取り顔を近づけてきたその子の 顔をマジマジと見る 「美波ちゃん?」 「そうそう!やっぱり藍ちゃんだよね!?」 「えーー?美波ちゃん?アイドルなの?」 名前を言われて思い出した 新木場に住んでいた時に家が近くて よく遊んだ友達の一人で私が引っ越しする前に 確かどこかの学校へ転校したはず 「藍ちゃん、あんまり変わってないね 昔から可愛かったからすぐわかった」 「美波ちゃんこそすごい! 韓国でアイドルやってるなんてびっくりだよ」 懐かしくて思わず二人で盛り上がっていると ジウが話しかけてきた 「ちょっと藍?日本語で楽しそうに話してるけど もしかしてレインシエルのミナと知り合いなの?」 私の服の袖を引っ張りながら興味津々だ 「そうなの、小学校の時の友達で」 「ええーーーー?!そんなことある?」 大きな声で興奮している 「すごいすごいよ!藍!」 ジウが興奮して飛び跳ねてる そんなジウをみてメンバーが笑う 「藍さん?ミナの友達なのね! これからもよろしくね」 他のメンバーもミナの知り合いと知ってか 友達のように話してくれる 次のスケジュールがあるミナと連絡先を交換して 時間ができたらゆっくり会う約束をして別れた
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