十月

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あれから1年が過ぎた カイは一歳になり チョコチョコと歩くようになっていた 結局ライリーとは別れ ハオンには伝えず一人で育てている 一人でと言っても結衣がかなり手伝ってくれた 結衣と一緒に立ち上げた会社も なんとかやっている 今日は千鶴さんに会うために韓国へ来ていた 約2年ぶりかぁ 空港に着きあたりを見渡す 「藍さーん!」 千鶴さんと息子のリオンさんが出迎えてくれた 「千鶴さん忙しいのにありがとうございます」 「あらぁ可愛いわね」 抱っこ紐の中で爆睡のカイを見て千鶴さんが微笑む 「私も早く孫が欲しいわ」 隣にいるリオンさんを見ている 「ちょっと母さん」 真っ赤な顔をしているリオンさんは 最近、アリンと結婚したようだ 一緒にリオンさんのお店に行ったときから アリンはリオンさんのこと狙ってたし 良かったなと思う 「そういえばアリンも会いたがってました 時間があったらお店に寄ってください」 「はいわかりました」 「なら母さん、俺はここで」 空港近くに仕事があったようで ついでに連れて来てもらったようだ 「藍さん、行きましょう」 千鶴さんに着いていきタクシーに乗る 懐かしいスタジオに着いた 中に入るとジウが駆け寄ってきた 「藍!!元気だったぁー?」 抱きつこうとしてカイの姿を確認して 寸止めで止まる 「可愛いー!何歳? 聞いた時ビックリしたよ いつの間に産んだのよ」 ジウが大きな声で話すからカイが起きた キョトンとした顔でジウの方を見て 私に抱きつく 「ママ」 「大丈夫よ、ママのお友達よ」 ジウがカイを必死にあやす 「ジウやめとけよ!」 どこからかドハもやって来る 「ドハ久しぶり」 「あー!藍元気だったか?」 懐かしい 楽しかったなこの場所 思い出に浸っていたら千鶴さんに 「さぁカイくんのお守りはこの子たちに任せて 仕事しましょう」 そうだ、千鶴さんは忙しいんだ カイを抱っこ紐から下ろす ジウのことをちょっと警戒しているようだったが 基本人見知りしないカイは ドハに抱っこされて何処かに連れて行かれた よし、今のうちに! 千鶴さんがうちの会社で使用する為に 取引先に頼んで注文してくれていた 洋服やアクセサリーを選ぶ 「そういえば今日は撮影ないんですか?」 「午後から何件か入ってるって言ってたかな」 気のせいか千鶴さんの様子がおかしい 「さぁ早く決めてカイ君と遊ばなきゃ」 千鶴さんもカイと遊びたいのかな? 孫が早く欲しいって言ってたし とりあえず仕事に集中することにした ひと段落して時計を見ると12時をまわっていた あっ!カイのご飯?! 焦ってカイを見てもらってるみんなのところへ行く 案の定お腹を空かせたカイが号泣していた 「カイ」 名前を呼ぶと泣きながら手を伸ばす我が子 「ママー」 可愛い、、、 軽々と抱っこして作ってきたお弁当をだす 前掛けを着けると良い子に座って待つ 可愛い、、、 ジウとドハも嬉しそうにカイの様子を見守る 「ごめんね、遅くなって」 カイにフォークを渡すと小さな手を合わせ 「いただきましゅ」 泣き顔のままご飯を頬張っていた 可愛い、、、 今日何回目かの心の声だ 毎日こんな感じで カイに癒されている ご飯を食べ終わり眠くなったのか 目を擦りながらこちらを見る 「おいで」 カイは眠くなると抱っこ紐の中に入りたがる 私はいつものように抱っこ紐にカイを抱き ユラユラと揺れる 割とすぐに眠りにつくが 油断してすぐに降ろすと 起きてしまうので一度抱くと 30分は抱っこしたままになる 「藍、ご飯買ってきたから食べよ」 最初に大きな声を出して カイを起こしてしまったからか ジウが小さな声で言う 「ありがとう」 私も小声でお礼を言い カイを起こさないように 席に着く 久しぶりの韓国料理 「いただきます」 席についてもユラユラ揺れながら食べる 「ママは大変ね」 ジウが関心したように話す 「お前も早くいい人見つけないとな」 ドハが意味ありげに話すと 「周りに素敵な人がいないのが悪いのよ」 ジウが突っ込む この二人両思いなのにまだ引っ付かないんだ 心の中で思いながら微笑ましくて見ていると 「撮影ちょっと早くなりそうだから 悪いんだけどみんなスタンバイしてもらえる?」 監督が声をかけてきた 「はーい」 二人は口喧嘩しながらも仲良く準備へ行った 揺れながらご飯を食べていたせいか 私まで眠くなってきた カイはあったかいしお腹いっぱいで、、、 気がついたら椅子に座ったまま ウトウトしていたようで 「ママ?」 カイの声で目が覚める やだ寝てた! 気がつくと撮影は終わっていて 二件目の準備に取り掛かっていた 「ママ、おりる」 抱っこ紐の中で暴れ出すので カイを降ろすとすぐに走り出す 「カイ!ちょっと待って」 追いかけられてるのが楽しいのか キャッキャとはしゃぎながら逃げる どうしよう スタジオは危ないものもいっぱいあるし 大事なもの壊したらいけないし 「待ってカイ!」 案の定、スタジオにあるコードに引っかかって こけそうになる 「危ないっ」 急いで手を伸ばすが届きそうにない 「カイ!!!」 その時 「危ないぞー」 短髪の背の高い男の子が カイを抱きかかえ なんとか転けずにすんだ あーよかったぁ、、、ほっとして 「ありがとうございます」 お礼を言いカイを男の子から受け取ろうとして 一瞬呼吸が止まりそうになる 「藍?、、、、」 「、、、、ハオン?」 お互い時間が止まったように見つめ合う 「ママー」 ハオンに抱かれているカイが私に手を伸ばすので 慌ててカイを私に受け渡す 「ブルークロス入りまーす」 嬉しそうなジウの声が響き 入り口からメンバーが続々と入ってきた 2年ぶりに見るみんなは少し大人になっていた そっか兵役行って戻ってきたんだ メンバーが私をみて目を大きく見開く 私のせいで仲の良かったメンバーが ギクシャクしたと聞いていたので 申し訳なさで下を向く 「ママ?」 カイが心配そうに声をかける 「ごめん、大丈夫だよ」 安心させる為カイの頭を撫でる 「藍?」 懐かしい声が聞こえ ユノが嬉しそうに駆け寄って来る 「びっくりした、幻かと思った」 相変わらず明るいユノは2年前のことなんて 気にしてないかのように話し出す 「この子が藍の子供?可愛い」 カイのほっぺをツンツンする カイは嬉しそうに笑いながら また降ろしてとばかりに腕の中で暴れ出すので 地面に降ろすと走り出す 「ちょっとカイ!」 追いかけようとしたらハオンがまた捕まえて 「こらぁーママを困らせたらダメだぞー」 とカイを擽ぐる キャッキャと笑いながら楽しそうなカイ あんな楽しそうなカイ初めて見たかも ハオンとカイが戯れ合っているのを見守っていると 千鶴さんがやってきた 「藍さん、余計なお世話かもしれないけど 言わなくていいの?」 「え?」 「実は結衣さんから聞いてて、、、 ブルークロスがカムバックするって聞いたから どうにかできないかと思って」 「え?なら今日私を韓国に呼んだのは?」 「ごめんね、本当に余計なことだったかも しれないんだけど、、、」 謝り続ける千鶴さんは見てみんなが 不思議そうに見つめる 「藍?どうかしたの?」 ユノが心配そうに聞いてくる 「ううん、なんでもないの、、、」 言えないよ 言ったところでどうなるの? 千鶴さんの気持ちはありがたいけど やっぱり調子が良すぎる 「みんな撮影あるのに邪魔してごめんなさい 私たちはそろそろ帰るね」 ハオンからカイを回収して 帰る支度をしていると ジホが痺れを切らしたように 「この子、あいつの子か? 全然似てないじゃん」 「あいつって?」 ユノとトユンの声が揃う 「俺が日本に行った時に見たのは 金髪の青い目をしたみるからに 欧米人だったぞ」 「、、、、」 「え?どういう意味?」 ユノの頭にハテナマークが見える 「だからっその子! 欧米人との子かって聞いてんの!」 ジホが大きな声で聞く カイはジホの口調が強いので 怖いのか抱っこ紐の中で不安そうに 私の服をギュッと掴む ハオンはその言葉で察したのか 「藍、ちょっとこっちで話そう」 私の手を引き 控え室へと連れて行く ドアを閉めてハオンが震える声で聞く 「その子、もしかして俺の子?」 「、、、、」 私はカイをギュッと抱きしめる 「ねぇ藍、お願いだから本当のこと教えて」 ハオンに必死にお願いされる 「、、、、」 「藍?」 私は黙ったまま頷く 「信じられない」 ハオン怒ってる? アイドルに隠し子なんて 大変なことだよね、、、 「ごめんなさい、私も産まれるまでわからなくて」 声が震える 「なんで謝るの」 え? 突然ハオンの懐かしい匂いに包まれる 気がつくとカイと一緒に抱きしめられていた 「今まで気付かなくてごめん」 「なんで?なんでハオンが謝るの」 「一人で育てようと思ったのか」  うんと頷く 「結婚しよう」 「でっでも」 「大丈夫、なんとかなる もう絶対離さない」   目からポロポロと落ちる涙を ハオンが手のひらで拭いてくれる 「藍が泣いてるとカイが不安がるだろ」 ハオンが優しい顔でカイを見つめる ハオンもカイを抱きしめながら 号泣していた
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