ラウルとチッカ遅れ来る

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 私、ちょっとずるいことやっている。食べもので彼の気を惹こうなんて。ほんとうはただ、触れたいだけなんだ。彼の夢の中で観たものに。そして、何よりも彼の温かい手に。 「なんか、トーベの童話の中の世界みたいだね。」 「ヨクイワレルヨ。I love their stories.」 「あの湖の中に手を浸したいな。釣り糸も垂らしたい。君は釣り人にぴったりだね。」 「アリガトウ。I am a real fisherman!」 「あれ? 君ってほんとうに漁師だったんだ?」 「ノンノン、チガウヨ。I am a novelist. But not famous. So I kill some time to enjoy fishing.」 「小説家。トーベとおんなじだね。」 「ソウダネ。So I love her and her works.」 「いつかラウルの作品も見せてね! 楽しみにしているから!」 「ウ、ウン。イツカチッカサンニミセルヨ。チョット、ハズカシイ、ケレドネ。」 「約束だよ!」  夢の中でも、直接触れることはできなくても、私は彼に指切りげんまんのやり方を教えて、彼との約束を交わしたのだ。夢の中で夢を観ながら。
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