ラウルとチッカ遅れ来る

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 目覚めると、YUMEURUWASHI(ユメウルワシ)の電源は付いたままだった。ボタンを押し間違えたのかな。電源ボタンを落としたと思ったのだけど、スリープモードの延長ボタンを押していたのかもしれない。  ずっとスリープモードはやっぱり疲れが残ってしまうんだよな。ノンレム睡眠になっていないからね。今日は昼寝しよう。  昼寝中に悪夢を見た。悪夢の中身は覚えていないけれど、私の引いたおみくじの内容を急に思い出した。何かとても、嫌な予感がした。ラウルがとても、とても遠くへ行ってしまう。今よりもずっと遠くへ。  予感は的中したのかもしれない。その日から、いくらYUMEURUWASHI(ユメウルワシ)を起動しようが、私の夢の中に彼が現れることはなくなってしまい、彼の夢の中に私が入ることは出来なくなってしまったのだ。YUMEURUWASHI(ユメウルワシ)のシステムに問い合わせたところ、マスコットのワシのキャラクターがホログラムで出てきてこう応答した。 “対象のユーザーがログアウトしているか、システムトラブルにより対象のユーザーとコンタクトを取ることができません。問題が解決しない場合は、お手数ですがカスタマーセンターまでコールをお願い致します。”  私は半ば絶望し、ワシのキャラクターのホログラムを強制的に消した。彼はどうしてしまったのだろう? 調子が悪いのか、何か事件に巻き込まれてしまったのか。それとも、私のこと、嫌いになっちゃったのかな?  彼の顔を再び観ることのできる日を祈りつつ、私は不安な日々を過ごした。しかし、予想に反してラウルの顔はすぐに観ることができた。それは意外にも夢の中ではなかった。彼の顔はスクランブル交差点の大画面の3Dテレビに大きく映っていた。字幕にはこう書かれている。
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