ラウルとチッカ遅れ来る

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「ラウル、ごめん。待った?」 「ううん、そんなに待ってないですよ。」 「ウソ。“待ち人遅れて(きた)る”。ほら、ラウルのぶんのおみくじ。」 「これってマサユメというやつですか?」 「うーん、前に観た夢とは違うかな?」 「どこが違いますか?」 「ラウルが日本語とても上手くなっているよ。」 「ありがとう。チッカさんもフィンランド語おぼえてくれてありがとう。」 「エイパケスタ!」 「ふふ、そのちょうし。」 「あとね、君は相変わらず大吉でオンネア! そして私は凶から中吉に上がっていたよ!」 「おめでとう!」  「キートス! あとね、“待ち人遅れて(きた)る”だって。君とおんなじだね。」 「おんなじだ。うれしい!」  日本語はとても上達してたどたどしさはなくなったが、相変わらず彼の笑顔はまるで少年のようだった。私も彼をまねて、少女のようにほほえんでみせた。それはまるで、夢のような時間だったけど、紛れもない現実の時間だった。
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