ああ…荒野

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ああ…荒野

 また獲物を逃した。  三日間は何も食べていない。空腹だった。  今の狩りで最後の力を振り絞ったため、もう槍を持ち上げる力も残っていなかった。  後ろを振り向くと、そこは荒野だった。  動物も、退廃していくこの世界に、餌と住処を奪われつつある。  その動物を食べて生きている我々も、いよいよ命を紡ぐことのできない状況に追い込まれていった。  そのとき。一羽の鳥が、目の前を羽ばたいた。  咄嗟に槍を突き上げ、鳥を串刺しにした。  鳥は胸を一気に突かれたまま、ぴくぴくと動いていたが、やがて息絶えた。  この鳥を持って帰り、飢えながら待っている子供たちに食べさせてやろう。  鳥を槍から抜いたとき、その口に生きたままの虫が咥えられているのが見えた。この鳥は、雛鳥に食料を運びはばたいている途中、突如としてその命を終えたのだ。  なんだか、すべてがむなしくなってきた。この鳥と自分は、いったいなにが違うのだろうと、これまで何度となく考えてきた思いが、首をもたげた。  どうせ、明日、地球が滅びることが、神様ミーティングで決まったばかりだった。ミーティングでのお茶出し係に任命されていた私は、神様たちの決定に、うんともすんとも言える立場ではなかった。  神様用打合せ室から出て、いつも通り狩りをしていた。  明日、地球が滅びることがどうせ決定しているなら、せめてこの虫を雛鳥に運んでやり、雛鳥が満足そうに虫をほおばるところを、子供たちと一緒に眺めているあいだに、地球爆破が実行されたらいい。  殺した鳥と、生きた虫を手に、子供たちが待つ家路を急いだ。
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