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私立悠弦高校は、この日の午前中で二学期の期末テストが全科目終了した。解放感あふれる生徒達は次々と学校を後にしていく。
そんな中、寒風吹きすさぶ中庭で一組の男女がベンチの前で並んで立っていた。どちらもガチガチに防寒し、手には自販機で買った暖かい飲み物入りのカップを持っている。
カップの飲み物を一口飲み、男子が口を開いた。
「オカルト研究会の次回活動内容打ち合わせ会~」
彼の名は、綾崎智勇という。現在二年生の男子である彼は、昨日よりこのオカルト研究会の代表となった。ひょろりとした体の上に、可も不可もない顔が乗っかっている。期末テストでは国語に盤石の手ごたえを感じ、数学に人生の厳しさを教えられた。
「はいっ!!」
元気の良い返事をしたのは、倉田亜紀。彼女は一年生女子にして、このオカルト研究内のエースと言っていい存在だった。小柄な体にパワフルなオカルト愛を詰め込んだ彼女は、部ですらないオカルト研究会を見つけ出し、迷わず飛び込んで来た猛者である。その無駄なアグレッシブさはまさしくエースの風格。
ちなみにオカルト研究会というのは、この二人が所属する同好会である。
先日までは三年生がもう一人所属していたが、受験を理由にして智勇に後任を押し付けて姿を消した。
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