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書庫は図書室の隣にある。
今日は冬休みなのでこのフロアは無人のはずだった。
だが、図書室の入り口にはめられた摺りガラスからは、中で蛍光灯が点灯されている事を示す光が漏れていた。
「図書室、誰かいますね」
「冬休みに開館日ってあったっけ?」
「いえ、閉館の札も下がってますし」
「じゃあ、なんか作業でもしてるんだろ」
「図書委員も大変ですねぇ」
そんな事を言いながら、二人は書庫に続くドアの前へと立った。出来るだけ音を立てないように、ドアノブに手をかけ、智勇はそれをゆっくりとまわす。だが、途中で引っかかった。
「鍵……かかってるな」
「あ、それでしたら」
亜紀はポケットの中から銀色のありふれた鍵を一本取りだした。
それを鍵穴に差し込んで回すと、かちゃりと音が鳴り、鍵が解除された事を教えてくれた。
改めてドアノブを回すと、今度は抵抗なく回った。
ゆっくりと引き開け、中の様子をうかがう。
窓から差し込む光で、書庫の中はそれなりに明るかった。
二人は出来るだけ素早く書庫の中に身を滑り込ませ、後から入った智勇が後ろ手にドアを閉じた。
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