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やがて、部屋の中が随分暗くなったところで、二人はようやく我に返った。
「……あれ、何か暗いですね」
「……夕方だな」
「え、どれぐらい話してたんでしょうね」
「わかんないけど、かなり長く……」
「お陰様で、計画は綿密に練れましたね」
「だな。そろそろ帰るか」
「はいっ」
亜紀が荷物の片づけを始める。
智勇はレジャーシートを拾い上げてたたみながら、ふと思いついたことを口にした。
「結局、書庫の幽霊って……」
「あー、出ませんでしたねぇ」
「変な音はしたけどな」
「写真……一枚も撮ってないです」
「あー、じゃあ適当に……」
智勇はスマートフォンのカメラであちこちを適当に撮りまくった。
「どれどれ……」
「何も……写ってないですね」
「だな……。よし、じゃあマジで帰ろう。寒いし」
「ですね。帰りましょう」
亜紀は立ち上がり、荷物の詰まったリュックを背負おうとした。
その時、智勇が手を伸ばし、亜紀に言った。
「持つよ」
「あ……アリガトウゴザイマス」
「当然だろ」
智勇はリュックの下げ手を片方の方にかけながらそう言って照れくさそうに笑った。
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