ささやかなるお見合い

33/93
3175人が本棚に入れています
本棚に追加
/583ページ
 さて、帰るか、と駿佑が鞄を手にしたとき、スマホにショートメールが入ってきた。  白雪万千湖からの返信か、迷惑メールのどちらかだろう、と駿佑は思った。  他にショートメールなんて送ってくる人間はいないからだ。  友人も家族もみな、 「ぽちぽちメール打つとかめんどくさい」 とか言って、ほぼ電話だ。  駿佑は鞄を一旦、デスクに置いて、そのメールを開けてみた。 『はい』  短過ぎだろ、お前……。  万千湖のメールの返事は全部これだった。 『今日は暇か』 『はい』 『そうか。  もし、仕事が早く終わったら少し会うか』 『はい』  そっけなさ過ぎというか、男らしすぎだろ……。  ショートメールとはいえ、いまどき、もっと文字数打てる気がするんだが。
/583ページ

最初のコメントを投稿しよう!