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連絡先をどうやって訊こうかな、と思いながら、駿佑が廊下の角を曲がると、ちょうど前から白雪万千湖がやってきた。
ほっそりとしたモデル体型。
茶ががかった、ふわふわっとした髪は肩までで、小さく整った顔をしている。
白雪という名前のせいだろうか。
その肌の白さが引き立つ気がするせいだろうか。
なんとなく黒髪に黒い瞳が似合いそうな雰囲気なのだが、実際には、そうではなかった。
彼女の焦茶色の瞳が自分を見つめる。
おとなしい美人、という雰囲気から一転、コミカルな動きで、顔と手を動かしはじめた。
胸の前で、手でバツ印を作り、顔をしかめて、愉快な顔をする。
次に、手を手首から先だけ動かして派手に振り、やはり、愉快な顔をする。
万千湖の意図が汲み取れたわけではなかったが。
その突拍子もない動きと表情にあっけにとられている間に、別の女子社員が万千湖に話しかけようと追いかけてきたので。
人数が増えたら、話すの面倒だな、と思い、すれ違いざま、万千湖に、
「あとで連絡先寄越せ」
と言って去った。
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