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(イ)13.「懸賞でタイムマシーンが当たった!」
「わーいわーい、タイムマシーンが当たった」と僕。
「じゃ、私、ハワイに行きたいわ」と母さん。
「俺は万里の長城に行ってみたいな」と父さん。
「絶対にディズニーランドよ。だって、空から入れば入場料払わなくてもいいじゃん」と妹。
「あの、みんな勘違いしてない?これ、横に動かないんだけど」
「じゃ、どこ行くの?」
「この家の中で、過去とか未来とか」
「この家の過去に行くと言うことは、死んだ義祖母(ばあちゃん)とか出てくるの?」と母さん。
「未来なんかに行って、じいさんになった自分なんかと会いたくないぞ」と父さん。
「こんな狭い家の中なんて、そんなの面白くな……ちょっと待ってお兄ちゃん、横に動かないんでしょこれ」
「そうだよ」
「と言うことは、縦に動くわけ?」
「たっ、縦……」
「うん、過去や未来に行けるなら、縦にぐらいだったら動くんでしょ、エレベーターみたいに」
「それならまだましね、私がデパ地下に行ってるあいだに」
「俺は紳士服売り場に一直線」
「私はもちろんおもちゃ売り場」
「……上にも下にも行かないよ……」
「ウソでしょ」
「ホントだよ」
「横に動くのに換えてもらってよ。ハワイ行きたいのに」
「そうだ、せっかく万里の長城、いや、スフィンクスでもいいな。それが無理なら返品してもらいなさい」
「お兄ちゃんの馬鹿!ディズニーランド!ディズニーランド!」
「3階に今度釣りのコーナーが出来たんだ」
「アンテノール」
「マンハッタンヒルズ」
「横に動くの!」
「移動するやつ!」
「エスカレーター以下じゃん」
「返品!返品!」
「返品!交換!」
「交換!交換!」
「お金返せ」
<おまけ>
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