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キーッというけたたましい音が響いたものの、ガードレールにぶつかる手前で車は止まった。
ふうっと大きく息を吐いたが、まだ心臓がバクバクしている。
一体どこから急に出てきたのか。
バックミラーを見ると背後に車が見える。離れているのに向こうの運転手の真っ白い手元が見え、苛立ちを表すかのようにハンドルを指でトントンとゆっくり叩いていた。
さらに向こうのバックミラーには、こちらをジーッと見ている死神の黒い目がはっきりと映っていて、バックミラー越しに目が合った。死神はチッと舌打ちした。それは真っ黒い大きな霊柩車で、時計を見ると十二時一分だった。
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