花嫁

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 あの日も秘密基地を作ろうということで放課後に近くの廃材置場で遊んでいた。積み上げられた木材の隙間にある空間を基地に見立て屋根を作ろうと二人で頑張っていた。  十五時を過ぎたころ、お腹が空いたのでわたしはおやつをもらいに一人で家に帰った。二十分ほどして二人分のおやつを抱え、廃材置場に戻ったがS君の姿はなかった。 「S君」と大声で呼びかけたが返事もない。  待ちきれずに帰ったのだろうか。今まで一度もそんなことはなかった。  念のため基地の中を覗いてみるとS君が坐って俯いていた。待っている間にくたびれて眠ってしまったようだ。
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