写真家

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 会話の中で分かったのは花嫁は会社員、新郎は医者であり同じ年で友達の紹介で知り合ったということだった。  洋館に着くとまず庭園に向かった。そこは人気の撮影スポットで、これまでにも何度も来たことがあり、太陽の日差しがあるうちに庭園での撮影をするのがYのやり方だった。自然光に勝るものはない。この日も天気が良く撮影は順調に進んだ。  庭園での撮影が終わるといよいよ館内での撮影だ。二階に上がり「女主人(おんなあるじ)の部屋」に入った。そこは白い小花柄が描かれたミントグリーンの壁紙、天蓋付きのベッド、白い大きな出窓がある気品溢れる内装で彼女にピッタリの部屋だった。 「少し休憩しましょう」  Yは花嫁に声を掛けた。 「はい」花嫁は静かに答えた。
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