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新郎新婦だけを部屋に残して、Yはほかのスタッフと一緒に続き部屋に移動した。
十五分ほどして、あと五分で撮影を再開する旨を伝えるために女主人の部屋を覗いたYの足が止まった。
花嫁が泣いていたのだ。白い大きな出窓に腰掛け窓にもたれるようにしてハラハラと涙を流していた。
床には白いドレスが雪原のように広がり、声を立てず肩を震わせ両手を膝の上に投げ出して幼い子供に戻ったように、ただ泣いていたのだ。Yの位置から新郎の姿は見えなかった。
なんて綺麗に泣くのだろう。Yは夢中でシャッターを切った。
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