写真家

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「そうでしたか。あんな写真を撮られてやっぱり不快だったのかと心配していたんです」 「いいえ。あなたが写真を撮ったのは分かっていました」 「そうなんですか」 「ええ。でも、そんなことはどうでもよかったんです。気にならなかった」 「・・・・・・」 「とてもいい写真だと彼も喜んでいて『受賞おめでとうございます』と伝えて欲しいといっています」 「ありがとうございます」 「では、さようなら」 「さようなら」  それだけだった。何故泣いていたのかは最後まで聞けなかった。
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