最終章

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 赤くなった目を誤魔化すように『久しぶりに顔を合わせた親族との思い出話に花が咲いて、昔を思い出して感動してしまった』と、訊かれもしない言い訳を口にしながら。 「あ、これ手土産です。たくさんあるので、あとで経理の方にも分けようと思います」  事前に用意していた小分けの手土産を机の上にそっと差し出すと、真壁はそそくさと社長室を後にしようとした。  その真壁に、聖が声を掛けた。 「ちょっと待て、真壁」 「な、なんでしょうか?」 「ネクタイが曲がっているぞ」 「? え、またですか……」  今朝も、出掛けに注意されたばかりなのに。  戸惑う真壁に構わず、聖はさっさと近寄るとキュッとネクタイを直してやった。 「さ、もう行っていいぞ」 「ありがとうございます。それでは社長のスケジュールを調整したら、またお伺い致します」  ホッとしたように頭を下げると、今度こそ真壁は社長室を後にした。 『もう、holyは十分過ぎる程頑張ったんだし、そろそろ自分の為に行動してもいいんじゃないのか?』  マンションでの多生の言葉を思い出し、聖は切なく笑う。  そうして、手の中でコロコロと何かを転がした。 「……オレもそうだが、どいつもこいつも、不器用で鈍感だよ」  そう呟くと、聖は手の平をゆっくりと開いた。  そこには、真壁のネクタイに仕掛けた小型のボイスレコーダーがあった。  さて、これを聞くかどうか。  聞かないまま、覚めない夢を見つづけるのも良いかもしれない。  あの人は、今もどこかの空の下で、風船のようにフワフワと自由に生きているんだと。      END 🐥 これにて完結で御座います(*- -)(*_ _)ペコリ この後は後書きと後夜祭、そしてオマケに移りたいと思います。 スター特典も進めたいですね🌸 どうぞ引き続きお越しくださいませ🍵 ※追記3/3 後書きはスター特典という形になりました😓 『完結』にすると、もうここからページが増やせないのです…。 後夜祭とかオマケとか色々続けたいので、どうぞ特典の方へお進みください。 こちらは☆1で読めますよ♪ ちなみに、「あなたの知らないハナシ」の方は御常連様に愛を込めて☆30です。 ※追記3/20 『あなたの知らないハナシ』完結しました。 ➡https://estar.jp/extra_novels/25928131 本編の後日談「オマケ」を執筆していましたが、こちらも完結しました! ➡https://estar.jp/extra_novels/25945180 後日談のオチは『頑張れ真壁くん』で〆ました🌸 是非そちらも楽しんでほしいですね📖 それでは次回作でお会いしましょう(@^^)/~~~
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