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2 First meeting
そう、あれは今から二十年ほど前。
御堂聖がまだ二十歳そこそこの若造であり、青菱史郎もまた三十路に届かない若造だった頃の話だ。
青菱史郎は、青菱会の時期トップになるべく青菱に産まれ、そしてそのままのルートで生きて来た、生粋の極道であった。
彼は青菱で早い内から若頭として組織に君臨してはいたが、如何せん青菱会は大組織故に各派閥も多く、いかな正当な後継者とはいえ気の置けない状況であった。
その史郎が初めて仕切ることになった、青菱会の新年会。
そこへ、天黄組頭の供の一人として付いてきた聖に、史郎は一目で心を奪われた。
その場には、煌びやかに着飾った女達も山程いたが、その中にあっても、彼はひと際輝いて見えたのだ。
吸い寄せられるように、史郎はその男から視線が外せなかった。
それ程、御堂聖という男は美しかったのだ。
産まれて初めて、史郎は本当に本気で惚れた。
同性だからどうしたとは一つも考えなかった。
史郎は、自分でも制御の利かない激情のまま無茶な要求を押し通し、天黄組が青菱会の下部組織だった事をいい事にして、聖を無理やり手に入れた。
聖にしてみれば、青菱会の時期頭という立場を利用して横紙破りを敢行した無礼極まりない男に突然囲われる事となり、お先真っ暗になった気分だったろう。
実際聖は、この青菱史郎によって、連日悪夢のような日々を送ることになってしまった。
何より不運だったのは、聖は男達を一目で虜にする美貌であるにもかかわらず、まったくのノーマルであったという事だろう。
しかしそれは、史郎も同じだった。
実のところ、史郎も聖も、それまで恋愛対象として同性を抱いた事も抱かれた事も一度もなく、どうすればこの歪な関係が上手くいくのか分からなかったのだ。
聖の肉体は、天上に実る無二の果実のように、甘美な肉体であった。
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