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「本当は部活やりたいんですが、妹の世話があるから……あの子も私が帰ってくるまで一人ぼっちなんです」
伏し目がちに話す依頼主――宮川彩楓は手足の動きが忙しそうだった。まるで何かに追われてるんじゃないかのように周りをキョロキョロする。
「何か気になることありますか?」
「……義母に居場所とこの件がバレるのではないかと心配で」
「依頼主の個人情報やプライバシーは厳重に管理しますので、ご安心ください」
「……ならいいのですが……」
どうも歯切れの悪そうな口調だ。何か隠しているのだろうか。
「義母は色々と口出しが多い人で、私がこちらにご相談してるのが分かってしまったら、止めにかかりそうで怖いです。私、失礼してないですよね?」
彩楓は顔色を伺うように二人に尋ねる。
「いえ、そんなことはないですよ。とてもしっかりされたお嬢さんだなって」
大屋の言うことにすずらんも頷く。
高校生とは思えない上品な口調と佇まいに自分が見習うべきだと思う。
しつけがしっかりされた家庭なんだろうと推測する。またはかなり厳しいか。
なんとなくききょうのことを思い出した。
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