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急ぎ足の群れが乗りこむ朝の電車
まぶしい光がビルに反射
星屑のように瞬いているのに
見向きもせず
洪水のようなニュースを
液晶画面からのぞき
世界と繋がった気分になっている
きっと私もその一人
嫌になって画面を真っ黒にする
自分の顔が映ってさらに嫌になる
駆け足の雑事は本当はほしくない
ほしいのは何もなくすべてがある静寂
たまたま座れた座席
あさはかな幸運を噛み締める自分が
ちっぽけだなと思った
砂時計の砂を
せきとめてしまいたい
やや後ろを振り向いて
窓の外を眺めてみた
電車は動いているはずなのに
いくつものビル群は止まっていた
願望が見せた幻か
そう思った矢先着いた目的地
きっと一秒の夢だったのだろう
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