猫と指輪

2/2
前へ
/11ページ
次へ
翌日、幸せの鐘が鳴り響く。 「結婚おめでとう!晴菜、とても素敵よ」 「お姉ちゃん!ありがとう!」 「真人くん、こんな娘ですが、末永くよろしくお願いします」 「社長。いえ、お義父さん。こちらこそどうぞよろしくお願いします」 誓いの言葉が終わり、指輪交換のプログラムになった。 「キャー!あの猫ちゃん可愛い!」 会場のみんなの視線の先には、ウェディングベールを被ったココアの姿。首輪には、昨日真人さんから見せてもらった結婚指輪がついている。 「リングキャット入場!」 ココアは、一生懸命バージンロードを歩いて、指輪を運んでくれた。 そして、私はグローブを外し、真人さんと向き合う。真人さんがココアから指輪を受け取り、私が差し出した左手を優しく支え、薬指へとゆっくり通していく。私も同様にココアから受け取った指輪を真人さんの薬指に丁寧に通す。二人の永遠の愛の証は、虹彩が力強く煌めいている。  「ココア、本当にありがとう」 ニャー! ココアの喜びに満ちた声が会場に響き渡った。 (了)
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加