これが彼らの日常だった

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背の高い草花が生い茂る。 小鳥がさえずり、風が吹き抜け、木々を揺らしていく。 自然は、心を安らかにしてくれる。 そんな、ゆっくりと時間が過ぎる空間に1人の少年が立っていた。 「聴こえる」 そう呟いたのは真っ黒な髪、茶色い瞳を持った15歳の少年。彼にはまるで自然の中に溶け込んでしまうかのような透明感があった。 「リン!どこにいる?ご飯だ、戻ってこい。」 遠くから男の声が聞こえてきた。男は小高い丘の上に立っていて、そこには一軒の家が建っていた。 「カイト、今行くよ。」 少年はそういうと、カイトと呼んだ男のもとへ走り出した。
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