これが彼らの日常だった

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男の名はカイト。鍛えられたがっちりとした体格ながら、顔つきから優しさが滲み出ている。ちなみに歳は30だ。 「調子はどうだ。」 「問題ないよ。」 「薬は?」 「飲んだよ。」 いつもの問答をすると、カイトは少しホッとした表情をして料理を机に並べ始めた。 リンはコアと自身との体質が合わず以前から薬を飲んでいた。もちろん、普通の医者には診てもらえないので、異端者専門の闇医者だ。 「俺は問題ないけど、少し森が騒がしい気がする。」 「森が?それはどういう事だ。何か起こるのか?」 「さぁ、そこまではわからないけど…気にかけておくことにするよ。そういえば、今日依頼主が来るんじゃなかったっけ?」 そういうと、リンは食事に手をつけ始めた。 「あぁ、夕方頃に来るはずだ。宅配の荷物受け取りか、迷子の子猫探しか、今度はどんな依頼なんだか。」 カイトの方もため息をつきながら、食事を始めた。 「いいじゃないか。それだけこのヤタ国が平和ってことでしょ。」 「それもそうだな。」 今日も、いつもと変わらない会話をして2人は食事を続けた。 彼らは、「なんでも屋」といういわゆる便利屋をすることで生計を立てている。 迷子探しから、荷物運び、何でもやっていた。 そして、依頼のない日は、何をするでもなくのんびり暮らす。 それが、彼らの日常だった。
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