沈丁花 ~Don't disturb~

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自分自身のお別れ会の時も、同じ様なこと、あなたしたもんね 私が行にキスをうっかりした後、トイレに行った行が中々戻って来ないから、数人でトイレに行ったら、行がトイレの手洗い場で倒れてて 大丈夫か!?となったけど、行が動けたので、そのままみんなで部屋に戻ったんだ その途中 行は私に後ろから抱き着いて来た 飲み過ぎた、とか言いながら 私は行が抱き着いてきて動揺して 大丈夫!?部屋戻るよ! と、酔ってまとわりついて来る…ともすれば、甘えてくるような感じの行の身体を離しながら、一緒に部屋に戻ったのだ 状況が、似てる そして 私はみすみす そのトラップに突っ込んで行ったんだ 好奇心が 抑えられなくて 続きが 知りたくて 彼が見せてくれる景色が 見て見たくて 「みんながいるから…」 そう言って彼が私をあやすように、諭すように言う 「ダメなの?」 みんながいたら、不都合なの? 私は一向に構わないけどな… もっと困っちゃえばいいのに 行の両肩に手を置いて、行は私の腰部分を両手で支えるように持って そんなやり取りを繰り返していたら 閉まっていた扉が開いた あ 雅人は目が合った瞬間、何も言わずに扉をそっと閉めた 「ちょっとちょっと、雅人…」 行はそう言って、慌てて雅人を追う 私も一緒にトイレを出た 雅人の、あの 見てはいけないものを見てしまった…って顔 わかるよ 扉閉める時、ニヤニヤした気持ちも… 大学の頃 同じ学部の、男女数十名の仲間とカラオケに行った時 人数多いから3部屋くらい借りて、その部屋を色々な人が行き来しながら、色々な人とカラオケをして盛り上がってたんだ それで、とある部屋の扉を開けた瞬間 友達が、男の肩に寄りかかってる場面が飛び込んできてさ 思わず扉 無言で閉めちゃったよね ごめん、とか思って それで私は、ニヤニヤと笑いが止まらなくなっちゃって… 違う部屋の人に早速言ったんだ 一人じゃ、感情処理出来なくてさ 「ああ、俺も見た…」 そしたら一人だけ、私と同じ状況を体験したやつがいたんだ いや 何人にも見られてるって… いつまでイチャイチャしてんだよ! まあ…見られても構わないと思ってたから、していたんだろうけどね 知らないけど 雅人も あの時の私と、同じ気持ちだったんだろうな 気まずっ…って… 行は雅人に、酔っていた俺を、さわちゃんが介抱していたんだ、と言っていた 嘘つけ お前も口が達者だな 笑える 楽し 困ってる困ってる 他人の迷惑顧みず 困った顔に喜ぶ 私は孤独な享楽者 飲み会は頃合いのいい所で解散となった 自宅に帰ろうと思っていると、行から電話があって 私達は再び逢った ホテルに行こうよ、と執拗に言う彼を振り切って… でも、二人でいたかったから… 一緒に漫喫に行った 流されそうだったから 多分ホテル行ったら、一線を越える だから敢えて人のいる漫喫に行ったんだ 自制心の為に 個室ブースで彼とイチャイチャしていたら 「うるせーぞ!」 と、外から野太い男の声が聞こえた 思わず二人で目を合わせて、声を出さずに笑った なんか高校生みたいな 恋に恋して、夢を見てる 楽しい時間だったんだ でも、それだけ 風の前の塵におなじ
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