沈丁花 ~Don't disturb~

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迎えに来てくれた、真っ白いバイク 電車で私の家までくると思っていたが、まさかバイクで来るとは思っておらず、驚いた ってゆーか、バイク乗れるんだ… バイクに詳しくないからわからないけど、彼が乗って来たバイクは、パッと見の印象はごつくていかついバイクだった 「改造に300万かかった」 とか言ってたっけ… バイクに300万かけるってやべーな…と思ったが、バイク好きな人はそうなのかな、なんて思ったんだ 家の前の狭い路地を、バイクを手押しで抜けて 広い道で、行はバイクを止めた 「乗って」 行と二人乗りするという興奮もそうだったが、バイクに乗るのが初めてで、そっちの興奮の方がでかかった どうやって乗るんだ!? すごーい!初めて乗るよ! 何となくで跨ろうとしたら 行が差し出してくれた、メット あ、そっか メット被らなきゃ… 随分用意がいいな…と思ってから気付く …ああ、そうか 彼女と二人でも乗ってるもんね そりゃメット、二つあるよね そんな当たり前の事にテンションが急に下がったが、考えないようにした 彼女のメットを被る いや、きっつ!! メット小さいでしょ! 頭入らない… 彼女頭小さいのかな 顔小さいのかな 私より小柄で 童顔で 可愛いのかな… 「メット、入らない」 「ええ!?貸してみて」 行はメットを私から受け取ると、私の頭に勢いよく強引に押し付けた いった…「ほら、入った」 無理矢理頭をメットに捻じ込こまれた私 行はバイクに跨った え、えちょっと待ってどうやって乗るんだ!? 「そこに足乗せて」 そこ、と言ったところに足を乗せ、行の後ろに跨った 響く、重たいエンジン音 うるさ 「何処持てばいいの?」 「何処でもいいよ」 ええ…いや初めて乗るんすけど…何処でもいいって言われても… 何となく左手を行の肩、右手を行の腰回りに置いた 合ってるの…? バイクが走り出し、細い路地をあっという間に抜けて、山手通りに出た いや意外と早いなあ!? 振り落とされないよう、右手と左手に力を入れた 二人乗りの乗り方もわからないから、その持ち方で、腰を垂直にした体制 なんだその乗り方 引っ越してから、通いなれた通勤の道のりを、バイクは走る 人も街も 目の前を素早く通り過ぎていく やがて、キラキラとネオン輝く新宿が見えた いつもの見慣れた情景なのに 行の後ろから眺めるその景色は、非日常に見えたんだ 新宿西口の大ガードをくぐり抜け、代々木方面 新宿区と渋谷区の丁度境目辺りにある、駅直結のビル近く するするとバイクが駐輪場?に入って行く 降りた時はふらふらとして、ちょっとよろけた 降り方もわからない… 全然、バイク二人乗りのドキドキ感は味わえなかったけど、バイク乗ってるドキドキ感は味わえた
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