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中野は、ブランドのバックを持ち出すと、天音の安物のバックの中身を
移し替え「これが招待状だ」と、招待状も、その中へ入れさせた。
ドレスだけでは寒いからと、天音が着て行ったコートを羽織り
最後に、ヒールの高い靴を履かせて「よし、行くぞ」
三人は、車に乗って会場へ行った。
「パーティなんて、初めてなので、何だか怖いな~」
天音がそう言うと「心配するな、俺達も一緒だ」と、中野が言い
「俺達は、ホールには行けないが、二階席から見ているからな」と沢木も言う
「そうそう、忘れないうちに、報酬だ」
中野は、そう言うと、5万円を天音に渡した。
「ええっ、こんなに沢山貰って、良いんですか?」天音は驚いたが
「良いんだ」と、言われ、素直に財布の中に仕舞った。
車は、駐車場に着き、会場へ入る、受付が有り、天音が招待状を渡すと
赤い仮面を呉れた。
「招待状の無い方は、二階席になります」と、言われた中野と沢木は
「ああ、分かってるよ」と、中に入り、二階席に上がる前に
「さて、君の仕事だが」と、言った「仕事?」
「ああ、何もしないで、5万円も貰える訳無いよ」「ええっ」
「な~に、大した事じゃない、ほら、あそこに金色の仮面を付けて
黒いマントを着ている男がいるだろ」そう言われて、ホールを見ると
煌びやかな格好の、大勢の中でも、際だったオーラを放っている
背の高い男がいた。
「あの男の傍に行って、仮面が取れた振りをして、君の顔を見せるだけだ」
「私の顔を?」訳が分からない。
「ああ、しっかり顔を見せるんだ、それさえ出来れば
後は遊ぼうと、帰ろうと、自由にして良い」まだ、事情が呑み込めない。
「君の事を、あの男に印象付けるだけだ」
「あり得ない事だが、もし、お茶にでも誘われれば
我々には、大いに嬉しい事になる」「ま、それは、さすがに無いだろう
今日は、顔を見せるだけで良いよ」そう言うと
「さぁ、行った行った」と、沢木が、天音の背中を押した。
今日は、と言う事は、またこんな事をするのだろうか、そう思いながら
天音は、その男の傍へ、近付く。
男の周りには、女がひしめいている、それをかき分けて進んでいると
「ちょっとっ、押さないでよっ」と、誰かに言われ
ドンッと背中を押された「あっ」よろめいた拍子に、本当に仮面が取れた。
「大丈夫?」そう言って、転びそうになった天音を支えてくれた
金色の仮面の男は、天音の顔を見て「君、、、」と、小さく言うと
やにわに、天音の手を引き「来いっ」と言って、ホールの奥へ連れて行った。
そこに有ったドアから、外に出ると駐車場だった。
「あの、あの、、」天音が何か言おうとしても、その男は、全く取り合わず
天音を車に押し込み、発進させながら仮面を取った。
「あっ、竜崎慎之介、、、」天音は、目を瞠った。
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