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そこまで言い切ると、将流は本格的に泣き出した。
私は黙ってティシュボックスを差し出してやる。
全くうざったい。めんどくさい。
あんたに姪っ子がうまれたからって、なんで私のところに報告にくるんだっての。
「あ、そう。よかったわね。おめでとう。それじゃ、また」
私は形式上だけは礼儀正しくお祝いを述べ、それからブドウをもう一粒飲み込んで、出口のドアを指してやった。
早くお帰り、この駄犬。
すると、何を思ったのか、将流は来客用のソファに座り、手帳を取り出した。
「で、いつがいいですか? 可南子さんにあわせますから」
「は?」
「ただ、できるだけ早いほうがいいなぁ……早く直接会いたいし」
「言ってる意味がわからないんだけど」
本当に全くわからない。
なにをのたまっているの、この男は。
「だからぁ、美佳ちゃんに会いに行く日ですよぉ!」
「美佳ちゃんて、だれ」
「可南子さん、聞いてました? 今までの話」
「聞いてはいたけど、意味がよく……」
「美佳ちゃんは、姪っ子です。俺の! 姉の! 娘! つまり、初の姪っ子です! その出産祝い! なんてめでたい! ね、いつ行きますか?!」
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