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「あ、その手もあったか。……違いますよ! 俺からの依頼じゃなくて」
将流は手帳をパン、と綴じ、私に近づいて言った。
「義理の兄の実家から、折り入って可南子さんにお願いしたいことがあるそうなんです。俺が姉に名探偵・瑪瑙可南子の話を散々していたんで、それで依頼しようってことになったらしくて」
「それは、ホントか」
「本当です。なんなら、電話で確認して頂いても結構です」
「報酬の出る、探偵としての依頼、なんだな?」
「間違いありません」
「…………なるほど」
そういうことなら話は別だ。
行かない理由は、何もない。
どんな事件なのかわからないのはやや不安だが、この私の腕にかかれば問題はないだろう。なんたって、名探偵なんだから。
「それで? いつ行けばいいんだ?」
「それでこそ、可南子さん! 早速、明後日の土曜日なんてどうですか?」
「土曜日か。よろしい、その日にしようじゃないの」
「やった! ありがとうございます! あ、出産祝いの品は、俺の方で用意しておきますので、お気になさらず!」
……ん?
出産祝い?
「事件の依頼だろう?」
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