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不時着
「早く走れ! 追い付かれるぞ!! 」
「んなこといっても! 片腕振れねぇんじゃスピードも出ねぇよ! 」
二人の男は、未知の惑星の宇宙船にて、未知の生物に追いかけ回されていた。グロテスクな見た目をしたそれらは、男達を死ぬ気で追いかけていた。薄暗く生物達のようにグロテスクな船内は、男達以外の人間の気配はなかった。
「その部屋だ! 駆け込め! 」
片腕が無い方の男は部屋に入るやいなや倒れこみ、もう片方の男は見たこともない扉に、当てずっぽうで鍵をかけた。成功したようで、扉の向こうからは生物達がドンドンと扉を叩く音が聞こえる。
「時間がねえな......よし、お前はそのカプセルの中入ってろ」
男が指差した先には、船内と同じようなカラーの人一人入り込めるカプセルがあった。
「外からは見えなさそうだ。ここだったら身を隠せるぜおい」
「なにいってんだ......これなんのカプセルだよ。しかも、もしカプセルに入って助かるとして、お前はどうすんだ? カプセルは一個しかねぇんだぞ? 」
片腕がない男に対して、もう一方の男は背を向けた。
「できるだけ奴らを倒す。次にお前がカプセルから出てきた時に危なくないように」
「それじゃお前が死んじまう! カプセルにはお前が入れ! 俺は奴らに片腕奪われたんだ。細菌でも入ってりゃアウトなんだ。だからこのカプセルにはお前が入るべきだ! 」
「うるせぇ......うるせぇ!! 」
男は振り返り、片腕がない男を無理やりカプセルにねじ込んだ。体格や腕の関係で、男はカプセルに入れられ、そのまま蓋を閉じられてしまった。どれだけ蹴っても開きはしない。
「おい! 神谷!! 」
「滝堂......元気でな」
滝堂は一生懸命カプセル内部から打撃を加えたが、いつの間にかカプセル内部に充満していた睡眠ガスによって、眠ってしまった。
「......じゃあな」
ちょうどモンスターが扉を破り、部屋に侵入した。神谷は拳銃を取り出し、モンスター達に向けた。
「俺の親友は! 絶対に渡さねぇ!! 」
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