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えっ?本当にこれで終わり?
もちろんケンカしたことも何度もあるけど、楽しかったこともたくさんあったから。
その十年がここで今日終わりになって、翔太郎がいなくなる、そんなのは嫌だと心の中で叫んでいた。
「ごめん。翔太郎の言う通りだから。仕事を理由にして、家事とかしてなかったし。これからはちゃんとそういうところ直すから……。別れるなんて、言わないで?」
最後は嗚咽交じりに泣きながら懇願した。
嫌だ、別れたくない。
どうするの、これから。この歳でもう一度一からやり直し?
焦りと不安が一気に押し寄せていた。
「ごめん。もう無理。俺、好きな人がいるんだ。今すぐってわけじゃないけど、その人と結婚したいと思ってる」
翔太郎のその一言を聞いて、私は別れを受け止めて――。話し合い一時間未満、私たちの十年は終わったんだ。
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