8.記者会見

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8.記者会見

 本部に戻ると、本部長が満面の笑みで迎えた。  やはり……記者会見の場が設けられており、レイを含めISDの全メンバーが集められていた。  どこかの記者から質問がとぶ。 「今回活躍した、シロ……ちゃんの見た、又は感じたイメージというのは、どのようなものでしたか?」  本部長はその質問の回答を、オレに丸投げしてきた。 「ISD室長、頼んだ」 「ハイ、日ごろからの訓練によって、シロは新たな能力を会得しました。それは、範囲内検索とでも申しましょうか、以前はピンポイントでしか人の思考が読めなかったのが、ある程度、直径約10メートルの範囲内なら、人の思考を読めるようになったんです」 ちょっと得意になってオレは続けた。 「ですから、今回の場合は家の中をサーチして、その中に人がいるかどうか、生きてるかどうかなどの情報をすぐにキャッチして我々に伝えてくれたんです。レスキューと連携してピンポイントに要救助者を助けられたのは、シロとクロあってのことです」  別の記者が手を上げた。 「女性を助けた直後に土石流が来ましたが、土石流が起きることは事前に分かったんですか?」  やはり本部長はオレを指さして、答えろとジェスチャーした。 「ハイ、あの現象を事前に知るというのは難しかったはずですが……あ、お待ちください……」  そこにクロから話が入った。 「シロが言うには、約1分前に兆候を察知したらしいわ。山の上の方で木の根が切れる音を聞いたし、石と石のぶつかる音が聞こえたって言ってるよ」 「あー、失礼しました。今のは約1分前に山の上の方で音がしたと言っております。なんとか助けられると判断したみたいですね」
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