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第一章 「何人が剣道部に入る?!」
「秋香ももう中学生ね。楽しみね」
母は浮かれた声で私に言う。まるで自分が学校に行くかのように。
どうせ何も変わらない。
ついこの前卒業式をした同級生に隣の小学校の子が増えるだけだ。
なんなら小学生のままがいい。
勉強は難しくなるし、部活にも入らないといけないし。
何より、、、、、、、、、
「「「「「「「「「「制服がダサい!!!!!!!!」」」」」」」」」
グレー色に赤のネクタイ、白のくるぶしソックス、極めつけは
ひざ下スカート。
6個離れている兄が中学校の制服を見た時の衝撃は今でも忘れない。
ドラマで見たような黒のジャケットに赤チェックのスカートへの憧れは
小学1年生で断たれた。
そこから6年後とうとうこの制服を着て3年間学校に通うのか、
入学する前から憂鬱である。
そうとも知らない母は艶やかな声で私に話しかけてくる。
「秋香は何部に入るの?」
「うーん。得意のはバスケだけど走るのは一番嫌だし。卓球かな。」
「だめよ。卓球部は部活緩いしママは嫌よ。」
その一言から母の意思をぶつけられる。
「じゃあ、バレーかな」
「バレーは女子しかいないからギクシャクするわよ。女って怖いわよ
~」
「っう、じゃあバスケは?!」
「先生が適当で弱いからだめ!やるからには結果が無いとつまらないわよ」
「陸上は苦手だし、楽譜は読めないし、入る部ないじゃん!!」
「柔道はどう~?オリンピック目指しなさいよ~」
「嫌だよ。先生怖いって小学校でも有名だったし」
「じゃあ剣道しかないわね」
「それは論外。一番ない。」
「まあ、ゆっくり考えなさいね~。」
自分は帰宅部のくせに子どもに厳しいのに少しの怒りを覚えつつ
母は思い出したように私に言う。
「そういえば、秋香と同じ年齢の子が剣道部に入るために引っ越してくるみたいよ。パパが引っ越し先の手伝いをしたみたいだから明日挨拶に来るみたいよ~」
「そう。」
と呟くと私は紙パックのジュースを一気飲みしてリビングを後にした。
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