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ピンポーンと家のインターホンが鳴る。
私はピンクのキラキラのネイルを塗っていた途中だったので、蓋を閉めて
玄関に向かった。
母がドアを開けると
体格が良いが優しそうな雰囲気をしているお父さん
いかにも溝端会議が好きそうなお母さん
顔が小さくて目が大きくてお人形みたいな女の子
お父さんにそっくりであどけなさが残る男の子
「こんにちは。前田りさです。」
満面な笑みで自己紹介するその子の指は私と同じピンクのキラキラのネイルをしていた。
私は何故か塗り途中の指を隠した。
私は会釈をして「五木 秋香です。よろしくお願いします。」と答えた。
お互い人見知り何だろうなと察した。
この時はこの出会いが私の人生の大きな分岐点だったとは気付かなかった。
「身長高くて大人っぽい子だったね。五木さんの奥さんからラインもらったから話してみなよ。剣道部誘ってみなよ~。このままだとりさ一人よ~」
「うん。連絡はしてみるけど仲良くなれるかな。静かそうだったし。」
帰りの車で前田家は和気あいあいと話しながら五木家を後にする。
「可愛かったね。顔小さかったし。なんかおとなしそうだし」
私は母に第一印象をこたつに入りミカンをほおばりながら話す。
「そうね。でも、ぱぱが前田さんのご主人と電話した時はうるさいから秋香ちゃん嫌になっちゃうかもって言ってたらしいわよ」
お互い第一印象が同じだったなんてこの時は知るはずもない。
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